約束の時間になっても、奴はいっこうに来ない。
誰もあいつの姿を見ていないという事は、おそらくあいつは散歩かなにかに出かけたまま外にいるのだろう。
庭の様子を見れば、大雨が降り注いでいた。なるほど、と納得して、傘を掴む。
渋い、濃い緑色の大きな傘。
どこに行ったかはなんとなく察しがついた。
公園に向かえば、そこに人影。
ぼうっと天を睨み、雨をしのぐ大樹の下から出ようとする。それがあいつだと気付くまでにはそう時間はかからなかった。
傘を差してやると、こいつは驚いたような顔をした。
「・・・遅ェぞ」
ぼそっと呟くと、こいつはふわりと笑った。
「ごめんなさい」
笑いながら、傘に入ってくる。
ああ、最悪な雨の日も。
こういう時は、悪かねえな。